2023.11.21

  • 取り組み

3.0テスラMRI 石橋総合病院

放射線科ではレントゲンやCT、MRIなどを駆使し、診断に有用な医用画像を撮影しています。
石橋総合病院では2017年の新築移転を機に、より高度な医用画像を撮影することができる3.0テスラMRIを導入しました。
今回は石橋総合病院放射線科科長の安達さんにMRIについてと放射線科の取り組みについてお話を伺いました。

安達科長(一番左)と放射線科のスタッフ

石橋総合病院

栃木県下野市にある全185床の総合病院。2つの大学病院、地域の医療機関と連携を図りながら、外来診療・入院・人工透析・在宅支援と幅広い医療サービスを提供している。
訪問看護ステーションを併設。

石橋総合病院ホームページ

MRIとは

MRIは非常に強い磁石と電磁波を利用し、人体の断面を画像表示することができます。
放射線を用いるCTと異なり、放射線被ばくの心配がありません。
脳梗塞や脳卒中などの脳血管疾患、整形外科領域であればレントゲンでは見つけにくい筋肉や靭帯、神経などの異常を調べることができます。
当院のような中規模の医療機関では1.5テスラMRIを導入しているところが多いのですが、石橋総合病院は2017年の新築移転時に3.0テスラMRIを導入しました。
栃木県 県南医療圏(下野市、壬生町、栃木市、小山市、上三川町、野木町)で3.0テスラMRIを導入している医療機関は大学病院を除くとそれほど多くはありません。※

※2023年11月時点

石橋総合病院に導入している3.0テスラMRI

3.0テスラとは/そのメリット

テスラとは磁場の強さの単位です。数値が高いほど高磁場で、短時間で高画質な画像を撮影することができます。1.5テスラに比べると、より細かい病変・血管を撮影できるため、早期発見・診断に役立っています。
検査時間は15分~20分ほど。造影剤※を使った検査であればその倍ほどです。撮影する部位によって変わりますが1.5テスラに比べると半分ほどの時間で終わります。

※造影剤とは、病変を発見しやすくする薬。副作用が起きることもある。

(左)3.0テスラMRI (右)1.5テスラMRIで撮影した脳血管の画像 細かい血管まで鮮明に映し出すことができる

全てにおいて3.0テスラの方が優れているかというとそうではありません。
磁場が強いため、心臓ペースメーカーなどの体内金属への注意がより必要となります。検査非対象の方も1.5テスラに比べると多くなります。
また脳神経系の撮影であれば3.0テスラが有利ですが、整形外科系であれば1.5テスラでも十分高画質です。
さらに、これは私たち導入する側の問題ですが、導入時のコストやランニングコストも多くかかります。

石橋総合病院での検査

石橋総合病院では、整形外科系(肩、膝、肘、椎体)を中心に、脳、泌尿器、乳腺、内科系と万遍なく検査を行っています。
現在は1日に14~15件ほどと朝から夕方まで途切れることなく稼働をしているため、一般検査の方では日数をいただいてしまっている状態です。ですが、断らない検査を心がけておりますので緊急性が高い人であれば、検査と検査の合間に入れたりするなど、「出来ません」は言わずに時間はかかってでも当日中に検査できるように調整を行っています。

また、紹介検査(他医療機関からの依頼で検査すること)であっても造影検査を受けている点も特徴です。当院の医師が診察をしっかり行うので、副作用などの対応を行うことができます。紹介検査の場合は翌日の午前中に読影レポートをお返ししています。

患者さんの中には閉所が苦手な方もいらっしゃいます。そういった方に対しては、いきなり検査を行わず、検査の様子を見学いただき、丁寧に説明をしたうえで検査を受けていただいています。

質の高い断らない検査をするために

現在、放射線技師11名が在籍しています。MRI専任の技師を配置するのではなく、全員撮影ができるため、緊急時の対応ができることも特徴のひとつです。
医師・看護師などと常に連携をとり、さまざまな検査や治療に迅速に対応できるように心がけ、最新の医療機器の導入や技師の知識及び技術の向上が医療現場での私たちの使命と考えています。患者さんと関わる時間は限られていますが、患者さん一人ひとりの声を聞き、安全で最適な検査を行えるよう努力していきます。

取材:R5.10