リハビリテーション花の舎病院

パーキンソン病について

目次

パーキンソン病

ふるえる、歩行が遅くなる、など運動症状で気づかれることの多い病気です。ふるえや動作が遅くなる病気は、紀元前5,000年のインドの文献にも記載されていて、その治療に用いられた植物の記録もあります。
パーキンソン病と呼ばれるようになったのは、英国のJames Parkinsonが、ふるえや腰の曲がった姿勢、小走りするように歩く患者さん達の様子を、1817年に初めて、一冊の本に詳しく記述したことに由来します。

パーキンソン病の原因

パーキンソン病の症状がでる原因は、脳の幹にあたる中脳にある黒質の神経細胞(神経活動を伝える物質としてドパミンを使っています)が少しずつ減少し、それに伴って、黒質から情報を受けとる神経核(神経細胞の集まり)でドパミンが欠乏してくるためです。

大脳の深部には、大脳基底核とひとまとめされる神経核のグループ(尾状核、被殻、淡蒼球、視床下核、黒質からなっています)があり、グループ内でネットワークを形成していて、そのネットワークにより、全身の筋肉の緊張や随意的な運動の調節が行われています。

ドパミンは、黒質から尾状核・被殻に情報を伝える神経伝達物質ですから、ドパミンが欠乏しますと、大脳基底核全体の働きに変調が生じます。その変調の表われが、パーキンソン病でみられる症状です。これが、脳(特に被殻)でドパミンが不足するとなぜパーキンソン病のような運動症状があらわれるか、の説明です。

黒質の神経細胞が次第に少なくなってくる原因は、まだわかっていません。一般にパーキンソン病は、遺伝しない病気ですが、一部に遺伝性のパーキンソン病もあり、その原因遺伝子の働きを手がかりに、黒質の神経細胞が減少する原因が研究されています。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の症状は、運動症状とそれ以外の症状(非運動症状)に大きく分けられます。

運動症状

無動・寡動 顔の表情が乏しくなる、小声、よだれがでる、書く字が次第に小さくなる、小股歩行になる、動作が遅くなる、何もせずじっとしていることが多い、など
ふるえ じっとしているときにふるえる
固縮 筋の緊張が高くなり、関節の屈伸運動に抵抗が生じる
姿勢反射障害 とっさのバランス反応が悪くなり転びやすくなる、突進歩行、など

パーキンソン病の場合、ほとんど例外なく身体の片側から症状が始まりますので、診察時には、無動、ふるえ、固縮の程度には、身体の左右で差があるのが一般的です。姿勢反射障害は、ある程度病気が進んではじめて観察される症状で、病気の初期には見られないことが多いです。

非運動症状

自律神経症状 顔が脂っぽくなる、便秘、排尿回数が多くなる、低血圧、など
精神症状 うつ傾向、意欲・自発性の低下、認知症、など

立ちくらみ(起立性低血圧)もパーキンソン病の経過中に現れることがありますが、薬の影響で起きる場合もありますので、病気のせいばかりとはいえません。排尿は我慢しづらくなり何度もトイレに行きたくなるのが特徴です。

精神症状で、もっとも頻度が高いのは、うつ傾向です。パーキンソン病患者さんの約50%にその傾向がみられるといわれています。うつ病とは区別されます。認知症は、パーキンソン病患者さんの約20%にみられるといわれていますが、病気の初期から現れることはなく、病気がかなり進んでから現れてくる症状です。

そのほかの症状として、臭いを嗅ぎ分ける能力(嗅覚)の低下、睡眠異常(睡眠中に大声を出したり、暴れたりする。レム睡眠期行動異常症)、があげられます。嗅覚の低下やレム睡眠期行動異常症は、パーキンソン病の運動症状が始まる前から現れることが多い症状です。

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